1 どこからが不倫か。不倫慰謝料の発生するケース
不倫の慰謝料について、どこからが不倫になるのかは個人の感覚によって変わります。
しかし法律上いわゆる不定の慰謝料請求がみとめられるのか否かは、基本的には、肉体関係があったか否かにかかってきます。
二人で親しく飲みに行った、手をつないだ、キスした、などの場合には、慰謝料が認められうる不倫にはなりにくいといえます。とはいえ、下記3で記載するように低額ですが慰謝料が請求できるケースもあります。
2 二人で泊まりに行っただけでも慰謝料が発生するのか
二人で泊まりに行ったが、肉体関係はなかった、というケースもあると思います。しかし、裁判所における立証においては、成人男女が二人きりで泊まりに行った段階で、ほぼ「肉体関係があった」と合理的に推認されてしまいます。何もなかったという言い訳は、たとえ女性が生理であったとしても、認められにくいです。
3「あなたが好き」というメールを送ることは不倫になるの?
基本的には、好意があるというメールを送る事自体は夫婦とはいえども不法行為を認めるだけの違法性はないとされており、それだけでは不倫の慰謝料請求はできないと考えられています。もっとも、特殊なケースで慰謝料が認められたものがあります。
東京地裁平成24年11月28日判例は、「逢いたい」「大好きだよ」などのメールを送信すること自体が違法行為になるかが争われた事案で「このようなメールは、性交渉の存在自体を直接推認するものではないものの、被告がAに対し好意を抱いており、原告が知らないまま被告と会っていることを示唆するばかりか、被告とAが身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり、これを原告が読んだ場合、原告らの婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである。」として、30万円の不法行為の慰謝料を認めました。
ただし、このケースも慰謝料の額は通常の不倫の場合よりはるかに低額である事に注意が必要です。