調停調書と公正証書について
離婚、養育費、慰謝料、財産分与などの支払いについて当事者の話合に争いがなければ、公証役場に行って公正証書を作成することも一つの解決策です。公正証書を作成するメリットは、慰謝料や養育費などについて、相手方が支払わない場合に、銀行口座を差し押さえたり、給与を差し押さえることができる点です。
これらの強制執行が可能になるという点では、実は調停調書も同じ効力があります。したがって、実務ではほとんど公正証書を作ることはありません。
調停調書であれば、数千円で申立が可能な上に、細かい点まで相手方と話を詰めることができるからです。
そして調停調書であれば公正証書と同じく、相手方が支払わない場合に強制執行することが可能ですから(詳しくは「養育費や婚姻費用の強制執行」の項目を参照)、公正証書を作成するのと同じ効果を、費用を抑えて実現できます。
もっとも、調停を利用する場合、日数的には公正証書を作成するよりはかかります。日数を短縮したい場合で、かつ相手方が同意している場合には、公正証書を利用することも選択肢としては考えられるでしょう。
公正証書 | 調停 | |
メリット | ・執行が可能 ・時間が短い |
・執行が可能 ・費用が安い ・話し合いで詳細が詰められる。 |
デメリット | ・費用がかかる。 ・詳細を詰められない場合がある。 |
・時間がかかる。 |
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この記事を書いた弁護士 弁護士法人ニライ総合法律事務所 弁護士 古賀尚子 |