不倫の交渉で注意すべき点
不倫が発覚したあとに、相手方や配偶者に交渉する際に注意してほしいことが多々あります。特に、冷静に対応しているつもりでも、法律的には無効になってしまうような場合がありますので、あらかじめ正確な法律知識を入れておく必要があります。
不倫相手と一旦接触しないと誓約させたところで許してしまう
よく不倫された側の男性で見るケースですが、「妻も愛しているから離婚する気はない、相手の男を追い払えたらよい」と思い、相手方と直談判し、相手方の男に会社を辞めさせるか、妻を辞めさせるなどして、接触を絶たせる交渉をするケースがあります。この場合、両者に二度と接触しません、という誓約書も書かせることもあります。ところが、数か月すると、また妻と男がひそかに連絡を取っているという事が往々にしてあります。
不倫をした男や妻からすれば、このような場合「とりあえず謝って許してもらった」という認識でしかありません。
どうしても相手方を追い払いたい、不倫している二人を別れさせたい、となった場合は、しっかり弁護士を頼んで慰謝料請求する事が有効です。
不倫は無料の風俗?慰謝料請求額が低くて失敗するケース
上記と似たようなケースですが、不倫慰謝料30万円を当事者の話し合いで払ってもらったケースでまた不倫が発覚したというご相談もあります。以前、不倫をしている男性側が30万程度の少額の慰謝料を払って示談した後に「風俗に行くより安かった」と飲み会で言いふらしていたという話を聞いたこともあります。慰謝料が低すぎると、相手にとって次の不倫への抑制にならず、この程度の支払ならばれてもいいやとでも言わん限りに、再度の不貞に走るケースもあります。この場合、やはり、初めから適切な慰謝料を弁護士を使って請求するのが一番ですが、もしこのように一度不倫の慰謝料を払ってもらっても、再度の不倫が発覚した場合には、再度慰謝料が請求できることがありますので、弁護士にご相談ください。もっとも一回目の不倫で、完全に夫婦関係が破綻し、不貞相手と配偶者が再婚に至るような場合などはできませんのでご注意ください。
合意書が法律的に無効または役に立たない場合
不倫相手を問い詰め不倫を認めさせた後に、ネットで調べた不倫慰謝料の合意書のフォーマットを利用して、相手に合意書を書いてもらうというケースがあります。よく当事務所にも相手に一応、浮気を認めさせて分割で支払いをしてもらう旨書いてもらったという合意書を持ってくる方がいます。
しかし、弁護士の目から見ると折角書いた合意書が不完全で逆にお金を取れなくなってしまう、または取りにくくなっているケースをいくつか見てきました。
・分割払いの場合に、期限の利益喪失約款(〇回支払いを怠った場合には残債務全額を支払う旨の特約)がなく、いつまでも残額を請求できない。
・相手方の名前まで印字してしまっており、相手の指印が押してあるだけ(本物かどうか後で鑑定不能になる)
・「相手が○○をしないという禁止行為(不倫相手が配偶者と会わない・会社を辞める等)を守れば「慰謝料を免除」しているかのように読める合意書
・不当に金額が高く、相手が支払いを拒否すると裁判をやり直さなければならなくなりそうな合意書(例1000万円一括で払う)
・合意書作成時に相手方に暴力をふるうなどして、任意性に争う余地を残してしまっている合意書(むかついたので一発お見舞いといったケース)
上記に掲げたような手作りの合意書は、不貞の証拠となる場合もありますが、裁判で争われる余地があり、場合によっては最悪無効となる可能性があります。
慰謝料請求をお考えの場合は是非、一度弁護士にご相談ください。