離婚後の親権者・監護権者を決定するための手続き
我が国では、離婚後の共同親権が認められていないため、離婚に際しては、親権者を必ずどちらか一方に決めなければなりません。
(1)合意による親権者の決定手続き
協議離婚の場合は、離婚届に親権者を記載して提出すれば、親権者が決定されます。
夫婦が子どものためということに協力しあうことで一致していて、お互いに教育方針などにも食い違いがなければ、話し合いで決めることも可能でしょう。
(2)裁判所を通じた親権者の決定手続き
一方、当事者の話し合いで決められない場合には、離婚調停を起こして、その中で話し合う必要があります。
離婚調停とは、裁判所を間に挟んだ話し合いです。
大まかな流れについては、「離婚調停の進み方」と「弁護士に頼むメリット」のページをご覧ください。
ただし、親権が争われている場合、多くの場合には、家庭裁判所の調査官といって、子どもの心裡などの専門家が家庭環境などを調査する手続きが入ってきます。
この調査は、概ね1~2月程度かけて行われ、夫婦の双方や子ども、関係者(祖父母や親戚、学校の担任、保育園の先生など)から聞き取りを行なったり、家庭を訪問して子どもと接する様子を見たりといったことをして、調査結果を報告書にまとめます。
この報告書を踏まえて、話し合いを行うことになります。
調査報告書の内容で概ね親権者をどちらにするかの意見が出てきます。
(3)裁判所における親権・監護権の決定要因
親権・監護権の決定要因の決定要因としてよく聞かれる内容として、母親側の資力(資力が乏しい事)、精神疾患の有無(うつ病など)がありますが、これがあるからと言って、親権者や監護者として不適切と判断されるかと言いうとそうではないことに注意が必要です。子どもの福祉の観点から、これらの要因がどのように影響するのかという点から調査官は、親権、監護権の適正を判断します。詳しい内容は、「子どもの親権者・監護権者の決定要因」をご覧ください。
離婚調停でも話し合いがまとまらない場合は、離婚訴訟を起こすことになります。
離婚訴訟の大まかな流れについては、「離婚原因 と離婚の裁判」のページをご覧ください。
ただし、親権・監護権が争われている場合、調停段階で家庭裁判所の調査が行われていなければ、この段階で調査が行われることになります。
調停段階で行われている場合には、調査報告書を提出し、それが参考にされることになります。
(4)親権・監護権の獲得に向けての弁護士の関わり
弁護士は、どのような場合に親権が認められ、あるいは認められないかについて、より正確な見通しを立てることができます。
親権・監護権を争っても認められる可能性がない場合には、面接交渉などの条件で争うこともありえます。
親権・監護権を争う場合も、どのような事実があれば有利になり、その事実を証明するためにどのような証拠があればよいかを、専門的な知識に基づいて検討し、証拠を集めて主張を組み立てることができます。
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この記事を書いた弁護士 弁護士法人ニライ総合法律事務所 弁護士 古賀尚子 |